黒色の話

太陽が沈んで何も見えなくなった暗闇。

 

それを色として作り出した墨。

松や桐や菜種など、さまざまな植物の油を燃やし

その時に出る煤を集めて墨が作られる。

 

また、染料と鉄分との化学反応によっても作られる。

黒染という。

どんな植物をどのように鉄と反応させるかによって

さまざまな黒が作り出される。

 

鈍色(にびいろ)

橡色(つるばみいろ)

梅染(うめぞめ)

藍下黒(あいしたぐろ)

空五倍子色(うつぶしいろ)

檳榔樹黒(びんろうじゅぐろ)

・・・

 

自然の恵みと職人の心が伝わってくる

素敵な名前の黒色たち。

 

 

すべての光を吸収する黒。

すべての色を内包している。

 

宇宙空間の色。 

 

絶望、恐怖、死を表す色でありながら、

何色にも染まらない強さ、高貴さ、

絶対的な力の象徴。

 

 

凛とした強さの色。