白色の話

古来より、神聖無垢な神の色、

古代の神に捧げる清浄な色とされてきた。

 

日本の色名のなかで最も古いもののひとつ。

光、雲、雪、霜、霧、骨、・・・

身近な色としてあった白色。

 

 

白い糸、絹。

桑の葉を食べる蚕は黄色い糸を吐くものが多かったが

人間の手によって飼育されるようになり

白い糸を吐くものだけを集めて交配、改良を重ね

白い絹糸を得るに至った。

 

絹によって表現された白は

 

氷色(こおりいろ)

卯の花色(うのはないろ)

 

など、美しい名前をもつ。

 

 

他には

黄色味がかった麻布を灰汁で漂白したり、

貝や鉱物を顔料にしたり。

 

白土(はくど)

胡粉(ごふん)

雲母(きら)

・・・

原料によって

青味がかっていたり黄味がかっていたり

自然の恵みが表れる。

 

 

白は無を表す。

無とは何かを生み出す力の根源であり、

羽ばたくときの色。

あらゆる可能性を秘めている、まっさらな色。

 

 

そして、赤、青、緑、

すべての波長の光を合わせると白い光になる。

すべての色の光を、混じりけのない純白のなかに持っている。

 

 

白は、包容と孤高を両立する無垢の色。