【生命のダイナミズム】

生命は、秩序を維持している。

 

分子が細胞をつくり、組織をつくり、器官をつくり、

今日も明日もきちんと働く。

 

時間とともにエントロピー(乱雑さ)は増大するのに

 

形あるものは崩れ、

隔てられたものは混ざり合い、

整頓された部屋は散らかり、

全部ぐちゃぐちゃになっていくのに

 

生命は、

エントロピー増大の法則に逆らい、秩序を維持する。

器官はほぼ一定の構造を保ち、ほぼ一定の働きを保つ。

 

それを可能とするのは、絶え間ない分解と合成。

破壊と再構築の繰り返し。

エントロピーが増える前に自ら壊し、捨てる。

何よりも、「壊すこと」を一生懸命行う。

 

身体を構成する分子はすべて壊され、

食事として入ってきた分子に置き換えられ

身体を構成した分子は捨てられていく。

 

私たちの身体は、数か月前とは別物になっている。

それでいて、「私」は維持されている。

 

 

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

環境からきた分子は、いっとき私の身体になり、

また環境に放たれていく。

 

絶え間ない変化のうえに成り立つホメオスタシス。

変化しなければ、朽ちていくだけ。

 

一時も休むことのない律動。

鳴りやまない音楽。

生命は、ダイナミズムそのもの。

 

このダイナミズムがとても愛しいがゆえに

その対極にある

無彩色の、無機的な、冷たく静かなものに

私は惹かれる。

 

 

動と静の対比もまた美しいなと。